「動物大国」というイメージが強いオーストラリア
オーストラリアは豊かな自然の中で、野生動物だけでなく多くのペットが人間と暮らしています。
実際に多くのアニマルシェルター(動物保護施設)がありRSPCAやAnimal Welfare Leagueなど代表的な団体のほか、小さな規模でも運営している団体がたくさんあります。
オーストラリアのペット事情
オーストラリアでは約62%の家庭がペットを飼っており、コロナ禍で自宅で過ごす人が増えたことからその数も増えています。
犬や猫のほか、鳥やウサギなどの小動物、馬やアルパカ、エミューなど様々な種類の動物が暮らしています。
オーストラリアのペットに関する法律
ペットに関する法律は州によって異なります。例えば、南オーストラリア州の場合だと
① 犬猫ともに、各家庭に最大2匹まで
②ペットを飼うときには、必ず登録をしなければならない
③去勢/避妊手術をしなければならない
④マイクロチップ装着義務
不必要に子犬や子猫の数を増やすことは動物の不法投棄や虐待につながるため、このようなルールが設けられています。
ブリーディングをしたい場合には、申請をした上で追加のお金を支払う必要があります。
1年間に約20万匹の犬猫が殺処分されている
動物愛護大国として知られるオーストラリアですが、日々多くの動物が捨てられ殺処分されていることはあまり知られていません。殺処分数は年々減少傾向にあるものの、犬と猫だけでも年間約20万頭が殺処分されています。
また、アニマルシェルターは年末年始に一番忙しくなると言われており、この背景には年末年始にペットを贈る習慣があります。動物がプレゼントとして贈られるものの「家族がアレルギーだった」「やっぱり要らない」など様々な理由で最終的にシェルターに送られます。身近なところではワーキングホリデーでオーストラリアにやってきて、その期間中だけペットを飼って日本に帰国するときには置いていってしまうケースも問題視されています。
私たちに何ができるか
動物に対してしっかりとケアやしつけを行い、また、飼い主にペットを迎えるための正しい知識を提供するなど動物看護師はこのような活動を根本的に支える大きな役割を担っています。
一人ひとりがこの問題に向き合い、動物に関する専門家としてどのように考え、行動していくのかを一緒に考えてみませんか?
執筆者の紹介
専⾨:獣医療ソーシャルワーク/人と動物の関係学
所属:Master of Social Work(MSW)
社会福祉学修士/獣医保健看護学士
オーストラリア・アデレード在