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動物医療現場における職業性ストレスとメンタルヘルス

動物医療現場で働く獣医師や動物看護師の職業性ストレスに対する関心が高まっています。
福祉や医療の分野に携わる人はとくに職業性ストレスを抱えやすいと言われており、主な症状として思いやり疲労や燃え尽き症候群(バーンアウト)などが挙げられます。これらを放っておくと、さらに深刻なメンタルヘルスの問題(うつ病、心的外傷後ストレス障害など)を引き起こしてしまう可能性があります。

今回は、誰もが陥ってしまう可能性のある職業性ストレスとメンタルヘルスについてお話しさせていただきます。

動物医療の現場とメンタルヘルスについて


メンタルヘルスの問題(うつ病、心的外傷後ストレス障害など)は職場の人間関係や労働環境に不満があったり、ワークライフバランスが上手くいかなかったりすることで引き起こされやすく、さらに、安楽死の処置など命を扱う業務におけるジレンマや良心の呵責(かしゃく)といった動物医療に関わる人特有のストレス要因もあるとされています。
動物看護師は飼い主に対して思いやりや共感を示すことが求められます。この分野でキャリアを積もうとしている人は、動物や飼い主に対する思いやりを持っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、この思いやりや共感を大切にしている人こそ厳しい職場での役割や責任に直面するとき、心理的なストレスを感じてしまうのです。職業性ストレスを抱えすぎてしまうと身体的/心理的状態を悪化させてしまうだけでなく、瞬時に正しい判断を行うスキルにも影響します。つまり、動物病院での医療上の緊急事態が起こってしまった際に、すぐに対処できなくなってしまう可能性があるのです。また、職業性ストレスに上手く対応できないことは動物看護師の離職率にも関係があるということが明らかになっています。
今後、動物看護師にはセルフケアスキルやストレスマネジメントスキルなど、職業性ストレスに対処するための能力を身につけることが求められていくでしょう。

最後に・・・

職業性ストレスとメンタルヘルスについてご紹介させていただきましたが、一つ言えることは自分自身の心と体の健康に責任を持つことは、動物の健康に気を配ることと同じくらい重要ということです。
自分にとって何がストレスと感じ、どのように対処していけばいいのか?どんな動物看護師になりたいのか?動物看護師としての自分を見つめ直す機会を設けてみてはどうでしょうか。
プログラムへの参加を通じて、今まで気づかなかった動物看護師としての自分の新しい一面を一緒に発見していきましょう。
みなさまからのご参加をお待ちしております。

執筆者の紹介

清水優那先生
専⾨:獣医療ソーシャルワーク/人と動物の関係学
所属:Master of Social Work(MSW)
社会福祉学修士/獣医保健看護学士
オーストラリア・アデレード在