保定方法のコツ
保定を行う際には、取り扱う動物種(犬、猫、うさぎ等)の行動や心理、人と異なる解剖学的構造などを理解しておく必要があります。
例えば、診察台の上で前に進んで飛び降りようとする犬がいるとします。このような動きに対して、必死に止めようとして肩などの前寄りの部位を中心に持とうとすると、うまく止められないことがあります。
そのような時には何故おさえられないのかを動物の特性から導き出します。犬の場合は、私達人間の二足歩行ではなく、四足歩行である点を考慮します。つまり、前肢は頭部と肩を支える役割があり、後肢には前へ進む動きをつくる推進力の役割があります。そのため、特に力強い犬の突進では、前肢や前寄りの体を中心に持つよりも後肢の膝のあたりをおさえて膝を曲げられないようにすることで動きを止めることができます。
まとめ
このように、個人の経験や感覚だけに頼った技術ではなく、生体力学や形態機能学、動物行動学などの体系化された学問に裏付けられた保定を実践していくことも大切です。